コラム

2007/11/21

容易ではない共生の時代(群馬・HI)


▼恐怖の余り、思わず後ずさりした。ゆっくりと玄関ドアのノブをつかむと、音がしないように開けて身をすべり込ませ、音もなくドアを閉め施錠した後、やっと一息ついた。その後、電話に直行しダイヤルした先は、家を建てた工務店だ。あいさつもそこそこに本題を切り出した。「スズメバチの大きな巣ができてしまったんです。どうしたらいいでしょう?」

▼発見したのは偶然だった。最近、ハチが多いなと思ってはいたが、ある日、自宅の庭と道路との境界にあるベニカナメの生け垣の中に、パイナップルのような形をした異物を見つけ、何だろうと顔を近づけた。仰天。冒頭の行動は、それが何か理解した後の行動だ

▼工務店の対応は「こちらでは対応できませんので、市役所に相談してください」と頼りない返事。普段は「住まいのことなら何でも御相談下さい!」と言っているのに。市役所に聞くと「市ではハチの巣駆除業務は行っていませんが、業者の紹介はできます」との回答だった。相変わらずスムーズ

▼専門業者の対応は早かった。ハチの巣を確認すると「後は一人で作業しますから、家の中で待っていてください」と言うと、宇宙服のような白い防護服を身にまとい、手際よく一時間ほどで駆除した。「大きいですね」と見せてくれたハチの巣の直径は35?

▼「ハチはケムシなど害虫を駆除してくれますから、共生できればそれが一番いいんですが」。担当者が言った言葉が耳に残っていた。しかし、庭先でスズメバチとの共生は脅威だ。仮に我々が大丈夫でも、道路の通行人を襲う可能性もある。共生の時代だが、容易ではないことは確かだ。(前・HI)

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