コラム

2007/11/26

「食」についての個人考(茨城・KK)


▼幼い頃、今は亡き祖父によく叱られた。「米粒を残すな!目が潰れるぞ」。三つ子の魂、いまだに食べ物を残したり、捨てることへの罪悪感がぬぐえない。消費期限や賞味期限を気にしないわけではないが、においを嗅いだり、舐めてみたりして食べるか捨てるかを決めている

▼先日テレビを見ていて驚いた。ある回転寿司店では皿の裏に製造時刻を入力したQRコードを貼り付け、センサーが時間切れの皿を次々にキャッチし、廃棄していく。「当店はここまで徹底しています」とのPRだろうが「もったいない」「やり過ぎ」。お客の反応は否定的な意見が目立った

▼消費期限、賞味期限は製造業者が任意で決めている。JAS法に基づく理化学実験、細菌実験を経て、食べて問題なしと確認された期間の半分位のところに期限を設定しているメーカーが一般的とのことで、そう神経質になる必要もなさそうだ。売らんがためには表示の偽装でも何でもする一部の企業のモラルこそは厳しく問われるべきだろうが

▼日本の食料自給率は39%と言われる。外食産業の食べ残し率が5・1%、家庭では2・9%。スーパー、コンビニなどで消費期限、賞味期限切れの名のもとに38万トンのまだ食べられる食品が捨てられている。これらをきちんと消費し、外食、家庭での食べ残しをもなくせば食料自給率は53%まで跳ね上がるという

▼昔は食の危機と言えば飢饉(ききん)だった。戦争を経験した世代なら飢えと戦ったことだろう。飽食の時代と言われる一方で、世界中で年間147万人が餓死している現実だ。食べ物を粗末にするのは許されることではない。再考したものである。 (茨城・KK)

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