コラム

2007/12/10

前向きで生きること(長野・SK)


▼すでに師走。振り返ればこの一年は目を覆いたくなることばかりだった。友人の姉が養護介護老人ホームのケアマネージャーとして昇進し、新しい職場に配属が決まり、意気揚々と希望に燃えていたが、そこは茨だった

▼ケアマネージャーから引きずり下ろそうと、院長含め職員が嫌がらせや無視、あげくは「ババア」呼ばわり。どんどん暗くなっていく彼女の一人娘は「うざいんだよ」。夫は「死ね。バカ」と。彼女はその頃「ごめんね。私も死にたいけど死ねないの」と泣いていた

▼55?あった体重も35?にまで激痩。次第に部屋にこもりがちになり「うつ病」となり会社を退職。みかねた友人は実家へ引き取り、病院へ、旅へと気をまぎらわそうとしたが目は虚ろで下を向いたまま改善されなかった。彼女はある日の明け方、母の寝室の襖を開け、暫く母を見つめ家を後にした

▼約2カ月後、実家が見える近くの山林で、首を吊ったまま半分白骨化した遺体で見つかった。友人は「あんなに探したのに」と肩を落とす。享年48歳。激怒した友人は職場へ乗り込んだが軽くあしらわれ徒労に。その夫は「決めるのは私だ。私は立場上捜索願いは出さないし、訴える気もない」と言い放った。言葉の剣とも言うべき殺人的行為だ

▼またほかの友人宅では、家族4人で旅行へ出かけたが高速道路は雪と濃霧。ノーブレーキで激突。娘の頭からドクドク血が。享年18歳。「みんな打撲ですんだのに、みんなの不運をひとりで背負い込んだ」と泣き崩れる。慰めの言葉も無い。それぞれが与えられた人生で鋭意生きるしかない。来年は友人たちと笑顔で会いたいと願っている。(長野・SK)

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