コラム

2007/12/21

娘とあなたと私へのエール(長野・EM)


▼最後の1片を埋め込み表面をひと撫ですると、やにわバサリとひっくり返し、再び同じ作業に取り掛かる。配置はあらかた記憶しているようで、つまみ上げた断片は、ちゅうちょなく然るべき場所に置かれていく。これで何度目になるだろうか。なかなか飽きるような気配はない

▼4歳になる娘がパズルに向かっている。ピース数が少なく、大きな欠けらの子供用で、買ってから随分経つ。幾度となく繰り返しているから、前述のとおり作業は淡々と進んでいく。これを最後にと、出来上がりを待って大げさに祝う筆者をちらりと見やり、またもバサリ

▼パズルは、試行錯誤する過程と完成時の達成感を味わうもの。本来の趣旨とは異なる、無意味とも思えるその行動の理由を尋ねると、決まって「おもしろいから」と満面の笑み。実際それだけのことなのだろう。意味などない、楽しいから続ける。子供の言動は単純であるが、意外と本質をついている

▼その様を眺めながら、ふと自身を振り返る。やみくもにこなす日々の業務は、見ようによっては娘のパズルと何ら変わらないのかも知れない。そのくせ、なぜと聞かれたら彼女のように上手に笑えるだろうか。悩むだけ無駄と分かっていながら自問自答する師走

▼公共事業に対する世間の風当たりが厳しくなって久しい。やり切れない思いに駆られる建設業従事者もおられるだろう。しかし、築き上げられた社会基盤なくして日常生活は成り立たない。建設業は誇るべき産業。思いを同じくする人は少なからずいる。それでも納得できないのであれば、パズルでもして頭を空にすれば、少しは楽になるかも。(長野・EM)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら