コラム

2008/01/09

平穏と繁栄に合掌(東京・JI)


▼初詣は、毎年変わらず東京・日野の高幡不動尊である。混雑する元旦を避け、2日に行くのも恒例。朝一番で電車を乗り継ぎ駅の改札を出ると、あちらこちらで高幡まんじゅうを売っている。これを尻目に足早で寺院へ向かうのも毎年のこと

▼まんじゅうも嫌いではないが、それよりも境内の屋台が好きなのである。バナナチョコ、りんご飴、焼きそば、牛串、お好み焼きなどの屋台がずらりと並ぶ様は全国どこでも同じだろう。平穏と繁栄を願って手を合わせた後に腹ごしらえ。我が家の場合はタコ焼きを買う。火傷しそうなほどに熱い小玉をハフハフと食べるのも毎年のこと

▼高幡不動尊の本堂は、東京都最古の文化財建造物という。平安時代に山の中に建立されたが、風で倒壊したために1342年に現在の場所に移築した。2体の仁王像が睨(にら)みをきかす仁王門も重要文化財である。こうした古い建造物と、昭和時代に建てられた五重塔や鐘楼などの新しい建造物が同居している

▼京王線・高幡不動駅は昨春リニューアルされている。バリアフリー化や自由通路整備によって使いやすい駅となった。またショッピングセンターが大きくなり、駅全体に華やかさが増した。こうした現代のニーズに合わせて整備をしていくこと、そして伝統的建築物を残すこと、既存施設の機能保持のために維持管理に手間をかけること。いずれも日本においては大事な事業である

▼周辺をのんびり散歩しつつ振り返ると、五重塔が遠目に確認できる。塔は夜になるとライトアップされる。闇夜にぼんやりと光る塔は実に荘厳である。新年の誓いを新たにした。(東京・JI)

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