コラム

2008/02/08

苦情、クレームの心理(茨城・KK)


▼なんとも殺伐とした世の中だ。居酒屋の駐車場で目が合ったことから口論となった相手を撲殺(昨年12月30日)。禁煙タクシーで喫煙を注意され運転手を暴行、犯人はタクシー運転手(1月10日)…毎日のように理不尽なニュースに接する

▼現在国内外約1400店舗をチェーン展開する「牛角」の西山知義社長。13年前、自身が最初の焼肉店を出した際、さっぱり客が入らない窮状の打開策に「苦情を寄せてくださった方、300円引き」と貼り紙。経営のヒントと後の大成功への大きな財産を得ている

▼近年、企業にとって苦情やクレームの対応が大きな問題になっている。以前なら客は「黙って去って行く」のが大半だったが、度重なる企業の不祥事が続く現実に消費者が「あきらめない」「泣き寝入りをしない」と立ち上がったのだろう。今後、苦情、クレームの処理、対応の巧拙が企業の将来を左右すると言っても過言ではないだろう

▼ウィリアム・サマセット・モーム『人間の絆』を思い出す。宗教学者のひろさちや氏が「自分を救った一冊」、「危機に直面したとき読むべき本」と絶賛していたモームの自伝的小説とされる作品だ。「人は誰でも?自分が一番?と思っているものだ」ー主人公が語る一節は印象的だ

▼ささいなことに無理難題をふっかける「クレーマー」の急増も企業にとって頭の痛い問題だ。「私はお客様なんだ」「オレはお前より偉いんだ」と暗に訴えているのだろう。誰でも「大切にされたい」「自分を分かって欲しい」と思わない人はいない。そんな企業への期待感をいかに維持していくかが求められるのでは。 (茨城・KK)    

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