コラム

2008/02/15

公共工事悪玉論の脱却を(茨城・HN)


▼警察官や消防隊員が人命救助に関わる仕事をしているのと同じように、建設業者は、住民の暮らしを守るため活動している。それは、事故と災害を未然に防止する基盤整備、また災害発生時の緊急整備だ。しかし、このような取り組みに対して、一般の人は認識不足が著しい

▼例えば洪水の時には、地元の建設業者が割り当てのボランティアで堤防を守っている。深夜に機械で水を汲んだり、土俵を積んだりと大変な作業だ。また冬場には、凍結して危ない道路に融雪剤を蒔き、交通事故の防止に貢献している

▼確かに、請け負って行っているのだが、その額はボランティア並みで、決して十分なものとは言えない。十分な災害復旧活動や未然防止活動が出来るのも、適正な価格での受注があってはじめて成り立つ。低入札の受注では、厳しい経営を強いられ、十分に人も雇えず、ボランティアで行えるような活動範囲も狭まってしまうだろう

▼建設業者は請負工事だけでなく、地域を守る工事も行っているということを、一般人にもっと知ってもらいたい。そして、厳しい入札制度が低入札を生み、企業の弱体化がインフラ機能を低下させ、我々の身の回りの安全を脅かしかねないと言うことを想像、理解してもらいたいのだ

▼一方で業界は「自分たちが公共工事などで生活の基盤を支えているのだ」という自信と地域貢献活動をもっとPRするべき。その効果的なPRを、行政がしっかりとサポートする必要がある。いつまでも公共工事悪玉論に縛られていてはいけない。官民の枠を越えた結束と、その集合体による取り組みが必要な時期に来ているのかもしれない。(茨城・HN)

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