コラム

2008/02/19

先入観を取り払うこと(東京・UT)


▼過日、都内の国立劇場へ足を運び、初春歌舞伎公演「小町村芝居正月(こまちむらしばいのしょうがつ)」を鑑賞した。自分でチケットを買い求めたのではなく、巡り巡って手元にきたものだが

▼初めての歌舞伎鑑賞。自分の知識では内容をほとんど理解できないだろうと思っていたが、イヤホン解説のおかげもあって、想像していたよりは把握できた。舞台、衣装、音楽、そして何より役者の演技に、「本物」が持つ凄みを感じた

▼劇中、近年の流行語も繰り出されたことには驚いた。笑いの渦が起こっていた。本当に良いものかどうかを真剣に見極めた上でのことだろうが、伝統文化の代名詞ともいえる歌舞伎が新しいものを取り入れていることは、うれしい誤算だった。本来はもっと身近な大衆文化であったことを痛感する

▼「談合」「天下り」「道路」「無駄」「事故」。これは、国民が国土交通省に対して持っている、悪いイメージキーワードの上位5つ。反対に良いキーワードは「道路」「安全」「整備」「交通」「災害」が上位5つ。同省が昨年9月に行った調査でわかった。「名前はよく聞くが何をやっているかよく知らない遠い存在」。調査結果から広報課は、国民から国交省がそうみられていると総括した

▼何事にもあてはまるが、ついてまわるイメージというのは、とてつもなく大きい。国交省も、調査結果を踏まえて広報改革に取り組むという。「職員一人ひとりの広報マインド醸成」などを掲げている。先入観を取り払う。もしくは最小限に抑え、自分の五感で確かめる。歌舞伎鑑賞は、ハッと気付かされる貴重な体験だった。(東京・UT)

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