コラム

2008/03/03

食について再認識(山梨・TT)


▼筆者の父の口癖は「食事をする姿は、人となりが現れる」であった。箸の上げ下ろしからうるさく、楽しいはずの食事も、父が加わることで緊張した時間になることも少なくなかった。そんな思い出もトラウマになることなく、「食べること」がリフレッシュ方法の一つになっている

▼先日、大勢で食事に出かけた。上品に口を小さく開けて食べる人、大きな口を開けてパクパク食べる人、表情豊かに食べる人、何を口に入れても無表情で静かに食べる人、その姿も様々。メニュー選びも、お腹が一杯になることを一番に考える人、素材からこだわる人などいろいろであった

▼毎日何気なく当たり前のようにしている「食べる」行為は、「人となり」だけでなく価値観や、その時の心の状態までも何となく見えてしまう気がした。隠そうとしても隠せない自分を見せてしまう時間でもあるのかもしれない。良く言えば、心を許すことができる時間なのかもしれない

▼テレビドラマで、食事をしながら大切な決め事を話し合う場面をよく見かける。筆者の勝手なデータによるとおおむね8割が成立している。それも食べることの魔力なのだろうか。そう考えると食べるという行為は、欲求だけではなく、もっと大切な意味に思える。ある人は「色・形・香・見た目など五感の全てを働かせる。人間は、脳で食べる高等な生き物」と言っていた

▼日本では、食品問題のニュースが多く、自給率も39%と低い。それとは裏腹に、世界では日本食が健康に良いと注目を浴びている。皮肉なことだ。消費者が、食の多様化と必要性を真剣に、再認識しなければならいだろう。(山梨・TT)

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