コラム

2008/03/12

現役のダイヤル式黒電話(群馬・NK)


▼最近、2年ほど使っていた携帯電話の調子が悪く、新しいものを、と思い近所の家電量販店へと足を運んだ。そこで見た新製品は筆者の使っているものに比べ、格段に高性能で、小さく、その多種多様さに驚かされた

▼近頃、携帯電話に限らず、電化製品の技術の進歩はめざましい。ことさら短い期間で新しい技術が導入され、以前のものに比べ、著しく性能が向上し、それに合わせて形も洗練された製品が次々に発売される。買い替えの際など、いつがお得な買い時なのか判断に悩むほどだ。当然のごとく使い勝手も複雑になる

▼確かに新しい製品を手にし、それを使うのは気分が良いものである。そういった消費者の期待に応え、新しい技術を開発し、新製品を生み出し続ける企業の努力は相当のものだろう。しかし、新製品を作り出すことに力を入れ、長く愛着を持って使えるというコンセプトの商品開発が少ないように感じる

▼祖父母の家に1台のダイヤル式黒電話がある。30年以上使われてきたもので、黒びかりしており、相応の威厳を感じさせる。当然だが今でもバリバリの現役だ。使用するに全く支障を感じない。材質はプラスチックのようなのだが、長年、大切に使われてきたためか、古いものに特有のなにやら独特な「味」のようなものさえ感じられる

▼どんな物でも、その性質には、それを考え、作り出した人の考え方や性格が反映されている。どうやら、この黒電話は物を大切に長年に使うというコンセプトで開発されたようだ。だからこそ、その気持ちが込められていて、使用者の信頼に長年応え得る品物となったのではないだろうか。(群馬・NK)

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