コラム

2008/04/30

人材育成に本腰を(茨城・SI)


▼茨城県内各自治体では、春の人事異動が発令され、職場の雰囲気も一新。引き継ぎもままならず、新天地に移り、慣れない業務に四苦八苦している方も多いのではないだろうか。それに輪をかけ、道路特定財源問題も一向に解決の糸口が見つからず、ドタバタとした慌ただしい1年がスタートを切った

▼茨城県土木部でも、今回の定期異動で、部長をはじめ、幹部職員の大半が総入れ替え。本庁では港湾課以外、出先事務所では水戸や境、大子以外でフレッシュな顔ぶれが並んだ。その一方で、ベテランの土木技術職31人が先月末定年で県庁を去り、新規採用は17人。実質14人の技術職員が削減された

▼県の調べでは、今後の土木技術職の定年退職者として、平成20年度29人、21年度42人、22年度33人、23年度39人を想定。21年度をピークに、その後も昨年度以上の退職規模が見込まれている。ここで問題になるのが“技術の伝承”。いかに、現場を熟知する技術職員を育成していくかが緊急の課題と言える

▼公共事業量は減っているとはいえ、本業以外にもクレーム処理など日常の雑務に追われ多忙を極める若手職員。なにかにつけ「現場が分からない」「設計図もろくに書けない」「業者まかせにしている」などとささやかれているが、同情の余地もありそうだ

▼この問題は、むしろ市町村の方が深刻なのかもしれない。団塊の世代の大量退職時代真っ只中にあって、財政難に苦しむ自治体は当面の財源確保に目を奪われがちだが、今こそ土木行政の根幹をなす人材育成対策に本腰を入れる時期に来ている。お役所だけに限ったことではないのは言うまでもないが。(茨城・SI)

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