コラム

2008/04/03

ピンチこそチャンスの発想(長野・HK)


▼日本百名山のひとつ、美ヶ原(長野県松本市ほか)。暖かくなれば牛も放牧される広々とした高原で、王様の顔になぞらえて最も高い部分が王ヶ頭(2034m)と名付けられている。そこからはほかの百名山のうち47を肉眼で確認できる。まさしく日本の山の中心に位置していると言えそうで、鼻とされる王ヶ鼻(2008m)は標高が年号と同じとあって、特に今年は訪れる人が多いという

▼物心ついた頃、初めて意識した山がこの美ヶ原であった。拙宅裏の縁側に座ると、正面にドンと構えていた。2基の通信用鉄塔を乗せた平らな頂上から、富士山のそれとは違い、いかり肩のように稜線が左右に広がる様は、人の脳裏に焼きつく

▼先日、これまで見上げるだけだった頂に立った。頂上で通年営業を続けるホテルの送迎バスで、1時間余りを掛けて雲上の銀世界へ。真っ白なガスに包まれた夕闇から一夜明けると、うって変わった晴天に恵まれた翌日。ホテルから30分の雪上行でたどり着いたのが、王ヶ鼻

▼幼い頃から見上げていた2基の鉄塔はここに聳えていたわけで、塔の脇を抜け、石仏の隣から見下ろした我が町(松本市内)の景色はまさにカルチャーショックでもあった。これまでとは180度、まったく逆からの視点で世界が全く変わったのだ

▼「ピンチはチャンス」との言葉もある。見る角度を変えただけで物事の見え方、考え方は大きく変化する。逆風が吹くすさぶ建設業界ではあるが、この風を逆手にとり、何とか乗り切りたいものである。向い風はそれに乗れば高く舞い上がることもできる。舵取りと着地地点が肝要なのは言うまでもないが。(長野・HK)

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