コラム

2008/04/10

保護策が過保護の結果に(埼玉・YW)


▼保護とは何かから守ることであって、良い意味で使われる。しかし過保護になると、良いことよりもむしろ悪い意味で使われる。業界を保護し過保護にするとどうなるのか考えて見たい

▼埼玉県の入札制度に関わった人が現在まったく畑の違う部署に異動し、偶然再会した。彼は「県内業者保護政策が甘やかす結果になってしまった」と残念がる。県内業者の育成を保護という美名のもと、甘やかしたために外部、つまり県外業者との競争力を低下させてしまったーということを言いたかったのだ

▼このようなセリフは過去何度も耳にしている。体が弱く、外で友達と遊ばず、代わりに親にねだる、何でも買ってくれるものだと思い込む。小学校の夏休み旅行は定番の親の実家ではなくヨーロッパが3回という一人っ子特有のわがままが功を奏したのか、親馬鹿と陰口をたたかれたものだ。親も教育、保護ではなかったと今は猛省している

▼つまり、県内業者の過保護なまでの地元育成策こそ競争力の低下を招き、本当の意味での地元保護政策ではなかったということになる。今後はあらゆる業界すべて護送船団方式では駄目で、いつまでもお上に頼っていてはいけない。役所が育てるのではなく、業界に自立させることが、むしろ生き残れる最大の策かもしれない

▼松下幸之助氏は自社の社員と松下政経塾生に好んで言う。「たまには親の言うことも聞け」と。親は子供に失敗させたくないから安全策を採る。しかし、それではチャレンジ精神が消え、大物にはなれない。天下取りを狙うなら、時に聞くことだけで十分だという意味だ。今こそそれが問われている。(埼玉・YW)

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