コラム

2008/04/14

役割担う建設産業界の雇用(東京・UT)


▼国内の道路整備が、前代未聞の事態に陥っている。ガソリン税における暫定税率の期限切れにより、このままでは年間2兆6000億円の税収が不足する。国土交通省では、暫定税率分を入れて組んである平成20年度の一般道路事業費4兆2051億円のうち、年度当初には5006億円しか配分されていない

▼地方公共団体も同様で、発注の見送り、入札延期といった緊急事態が見受けられる。年度当初に公表される発注見通しは、多くの市町村などで例年とまったく違った内容になってしまうのではないか危惧される

▼このままの状態が長引けば、建設産業界へ与える影響は、図りしれないものがある。とりわけ公共事業への依存度が高い地方建設業には、致命傷と言っても過言ではないだろう。帝国データバンクの集計によると、ただでさえ建設業は、全国で毎月200件以上もの倒産が相次いでいる。これは、全産業で最も多い割合となっている

▼建設産業界を追い込む最近の論調には、重大な視点がすっぽり抜け落ちている気がしてならない。雇用政策との関係である。建設業就業者数は559万人(平成18年度)で、ピーク時の685万人からは大分減ってはいるものの、今なお、全就業者の約1割を占めている。特に地方部では雇用のセーフティーネットとして、なくてはならない役割を担っている

▼建設産業界を疲弊させるということは本来、国の雇用政策をどうすべきかという問題と絡めて考えなければならないはずである。果たして受け皿はどこにあるというのか。地域の基幹産業である建設業界が担っている役割は、とてつもなく大きい。(東京・UT)

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