コラム

2008/05/22

逆境の中での努力(群馬・HM)


▼自動車レースの最高峰F1。日本のF1ブームの火付け役となった中嶋悟氏の長男、中嶋一喜選手がルーキーながら着実にポイントを重ねている。一方でチーム存続の危機に喘いでいるのは、もう1人のブーム火付け役だった鈴木亜久里氏が代表を務めるスーパーアグリF1チーム。財政難から今年、チームの撤退を発表した

▼このような状況で挑んだ4月27日のスペイングランプリ。参加するのがやっとというチーム状態で光ったのは日本人ドライバー佐藤琢磨選手の走り。荒れたレースの中、しっかりと走りきり完走中最下位ではあったが13位でチェッカーを受けた

▼良くて完走、おそらく順位も一番下だろうとは素人でも予想がついた。その中で、佐藤選手の選んだ作戦はピットストップ2回というもの。普通なら3回行うレースだが少しでも上を狙おうという驚く作戦

▼完走がやっとなら完走を目指す、という発想ではない。多少リスクを背負ってもあくまでも上位を目指す考え。その姿勢はレース終盤のバトルにも現れていた。後ろから追い上げるのはベテランのデビッド・クルサード。マシン自体の早さも違う。それでも簡単には抜かせない。最下位争いのはずなのに佐藤選手の粘りが、いつしか見応えのあるバトルとなり、国際映像でも長い時間放送された

▼人は逆境の中でこそ真価が問われる。この13位というリザルトはスーパーアグリにとって今シーズンで最高の成績。努力が全て報われる訳ではないが、努力なくして結果は付いてこないという事を見せさせられた気がした。なにもレースの世界に限ったことでは無いことはご承知のとおり。(群馬・HM)

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