コラム

2008/06/05

施工実績があしかせ(群馬・HM)


▼そもそも一般競争入札制度の導入は、脱談合で第一に透明性を確保するためであった。しかし「本当に誰でもいいよ」という訳にはいかないので種々の参加条件が付いてくる。これは品質を確保するために必要なもの。その中に「施工実績」を求めるケースが多くなった

▼同様の工事の実績があれば、それが無い企業よりも品質が保たれるだろうという考え方は理解できる。しかし、その一方で優良企業だが施工実績のない企業にとっては入札参加のチャンスをつぶされてしまっているという側面はないだろうか

▼先日、比較的新しい建設会社の社長と議論した。創業当時は指名競争入札が一般的だったため入札に際し「お前にはまだ早い」と落札させてもらえなかったという。それでもじっと下請けをしながら時期を待ち、そして先輩企業の多くがこの不景気のため倒産。いよいよチャンスが巡ってきたと思ったら大きな壁となって立ちふさがったのがこの施工実績

▼経営努力で優秀な技術者を抱え、優良な工事をしても元請けで受注した実績が無い。これから実績をつくりたいと思っても参加すらできない案件ばかり。「一体どうすればいいのか」と嘆く。同様に納得のいかない企業は多いはずだ

▼建設業の入札から談合のイメージを払拭し、客観性のある一般競争入札が最良とされ導入に至った。品質を確保しながら誰もが参加できる入札制度というのは難しいかもしれないが、技術力や経営努力で乗り越えられない壁をつくってしまうのは本筋では無かろう。誠意ある「不特定多数の参加者を」が一般競争の原点であるなら、ぜひ一考の必然はあると思うが。(群馬・HM)

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