コラム

2008/06/20

「道普請を」忘れずに(茨城・HN)


▼災害を未然に防ぐ基盤整備。昨今の大きな震災などで、復旧に携わる建設業者が取り上げられることはあるが、小さな災害の復旧活動が取り上げられることは、まずない。大きな災害でなければ、予算枠も小さく、地元建設業者は「ボランティア並み」と嘆いているのが実状だ

▼その昔は、家の前の排水清掃や伐採を行う人を「道普請(みちぶしん)」として各家庭から選び、部落で協力して道路や橋などの生活基盤を維持管理してきた。ところが都市化が進んでいくにつれ「工事はすべて建設業者にお願いしよう」という考えにシフト。そして「どんな工事でも、代金さえ払えば請け負ってもらえる」と

▼さらには、「安くて済む業者が一番。後はどこも同じ」とエスカレート。都市基盤が発展していくにつれてシビアになり、体を張って最前線で働く人の苦労を考えることもしなくなってしまった。それどころか、一部の建設業者による談合のニュースが、建設業全体を悪者扱いするようになった

▼農地・水・環境保全向上対策事業は、高齢化や混住化などで維持管理が困難になっている農地や農業用水などを、地域ぐるみの活動で盛り上げていこう、という農林水産省の取り組み。平成19年度から市町村で実施されており、少ない予算で大きな効果を生む事業として、すべり出しが好調のようだ

▼「荒れかけた土地を、みんなでなんとかしよう」。そのキーワードこそが、これからの時代に必要だ。建設業者まかせの他力本願では、人の気持ちはどんどん希薄になるばかり。地域の住民が自分の手で維持管理するような、原点回帰の仕組みづくりを期待したい。(茨城・HN)

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