コラム

2008/07/03

建設業を襲う物価高騰(群馬・AN)


▼「長年、地元を牽引してきたわれわれの仲間が倒産した。時を同じくして別の地域でも倒産が発生した。われわれは、今後も建設業で食べていけるのか」。このような意見が噴出したある会議。建設業を取り巻く環境の厳しさが、改めて如実に露呈してきた

▼原油はもとより、小麦粉や乳製品など食料品全般が大きく値上がりし、家計を圧迫している。値上げしなくても、内容量が減ったという商品も多い。これらは、サブプライムローン問題に端を発し、それに伴った株価下落が大きな要因と言われている

▼数年前、マグロに関する番組を見た。日本人が1年間に食すマグロは55万tにも及び、これは世界のマグロ漁獲量の4分の1にあたる。だが、このマグロが流通の変化などによって供給不足に陥り価格が高騰、将来われわれの食卓に上らなくなる恐れがあるという。経済発展が著しい中国が水産物の輸出国から消費国へと転換していることが原因の1つらしい

▼物価の高騰が相次ぐ中、建設業をさらに苦しめているのが鋼材類、燃料油。国交省をはじめ各県で鋼材類や燃料類を対象に単品スライドを適用し、受注者からの請負代金額の変更請求に応じる予定だ。業界が熱望してきた措置がようやく実った形だ業界では、当然この適用に敏感な反応を示しており、発注者側との意見交換会でも意見が出されている

▼建設業への風当たりは非常に厳しい。ある社長が建設業の現状を「量も少なく、味も落ち、決まった時刻に食べられない」と食べ物に例えた。まさに『言い得て妙』だが、そのうまい例えとは裏腹に、社長の苦悩に満ちた顔つきが今でも脳裏に焼き付き離れない。(群馬・AN)

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