コラム

2008/07/04

ようやく単品スライド適用(茨城・SI)


▼国や他県の動向を踏まえ、工事発注後に発注者が資材高騰分を上乗せして支払う「単品スライド条項」が、茨城県でもついに適用を開始した。隣接する他県に比べ、後追いの感は否めないものの、藁をもつかみたい建設業者にとっては、まさに朗報と言える

▼茨城県では、過去にスライド条項を適用した経緯がある。それは、1970年代後半の第二次オイルショック。この時は、工事費全体の上昇に対応する「全体スライド条項」を適用した。単品スライドは今回が初めてで、対象を鋼材と燃料油に限定している。それ以外の運用基準についても、国の制度と全く同じものとなるという

▼発注者の負担が発生するのは、対象資材の価格上昇に伴う増額部分のうち、対象工事費の1%を超えた場合。その差額を支払おうというもの。工事費の1%までは、いずれにしても施工業者が負担することになる

▼そこで気になるのは、県はこの条項適用で負担額をいったい、どのくらい見込んでいるのか。また、その財源はどこから確保するのか。仮に、工事発注で発生する差額金等で賄うだけでは無かろうが、その効果もたかがしれているといわざるをえない。公共事業の不要論が一般世論だ。日本国挙げて迎合するように、削減を継続してきた。差額の予算確保は多いに気になるところだ

▼公共事業費の増加が見込めず、道路特定財源問題が追い打ち。さらに厳しい経営環境に晒されている建設業界。入職する若者の数も少ないなどの話題もマスメディアに取り上げられるなど、今まさに正念場を迎えている。インフラの原点に立ち返った議論になれば、一番望まししのだが。(茨城・SI)

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