コラム

2008/07/22

外来種も美しく群生(山梨・TT)


▼甲府の中央を流れる荒川を横切り、さらに甲府盆地の裾を流れる笛吹川沿いをひたすら南に進むと富士川が目の前に現れる。筆者は、時々仕事でこのルートを車で走る。この時期は、色とりどりの草花が川沿いを飾り、ドライブ気分になる

▼最近よくコスモスに似た黄色い草花を見かける。茎は華奢(きゃしゃ)だが、鮮やかな色の花びらが、河川敷に生き生きと群生し、風に揺れる姿は、人目を引く。気のせいかもしれないが、手入れの行き届いた河川敷に多く見られるような気がする

▼調べてみると、オオキンケイギクと呼ばれ、キク科・北アメリカ産で特定外来生物に指定されている。一時は緑化対象種にも指定されていたが、成長が早く群落的に広がるため、元来日本にあった固有の植物の生命も脅かす植物とある。ただ、「早く堤防除草をしないとならないが、行き交う人々が観賞している姿を見ると除草時期を考えてしまう」と除草担当者は戸惑っている

▼世界では、10年以上も前から様々な外来種について問題視されてきたが、日本がこの問題を真剣に取り組み「特定外来生物法」を成立させたのはここ数年のことだ。確かに大きな一歩とは言えるが、まだまだ、効果的な施策にまでは至っていないのが現実

▼外来種が罪ではなく、持ち込んだ人間に問題があることを深刻に捉えることが重要だと思う。網の目のように複雑な生物の生態系は、人間に様々な分野で恩恵をもたらしてくれる。未来も変わらず自然の恵みを享受していくためには、自然の草花が溢れ、小さな生き物の姿をみることができる緑地空間作りを考えていかなければならい。(山梨・TT)

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