コラム

2008/07/30

大いなる自然との共生(東京・JI)


▼アサガオの種を植えた。植物の生育過程を目にすることで、幼い息子に生命のあり方を考えてもらおうと思ったからである。栽培は久しぶりのことだったが、特に調べもせず小さな植木鉢に幾つもの種を押し込んだ。この日から、ベランダでの観察は息子の日課となった

▼待望の芽はすぐに出た。成長は早く、あっという間に鉢が窮屈になる。これはマズイと細長いプランターに植え替えた。ところがこのアサガオは自分が知る品種と違うらしく、葉が大人の手よりも大きい。ベランダはたちまち異様な葉とツルで覆い尽くされた。息子は無邪気に「ジャングルだ」と大喜びだが

▼環境問題が世界的に注目されている昨今、いかに自然と共生していくかは人類全体のテーマといえる。地球温暖化の影響は生態系にも出ているらしく、かつての生息地とは違う場所での繁殖を続ける生物も多いと聞く。自然の恵みを食す我々の生活も、知らないところで大きな変化を遂げているのだろう

▼自然界は、時に人間に脅威をもたらす。大地震発生後の津波や土石流、地すべりに人々の生活は呑み込まれ、消し去られる。頑強に作られた構造物でさえ、荒れ狂う力には勝てないことがある。普段は穏やかな顔をしていても、その内側には天地をひっくり返すかのようなパワーをため込んでいる

▼我が家のアサガオもよたくさんの花を咲かせた。早朝のわずかな時間だけ、色鮮やかな姿を見せてくれる。コーヒーを飲みながら眺めていると、さながら茶人の気分である。茶室はジャングルと化したベランダだが、これも共生のひとつと言えるかもしれない。自然には逆らうまい。(東京・JI)

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