コラム

2008/08/11

道路工事を望む「顔」(群馬・HM)


▼連日うだるような暑さである。クーラーのない小さな公民館。4隅に置かれた扇風機はフルパワーで回転しているが、部屋の温度は高まる一方だ。拭っても拭っても汗が噴き出す。その熱気に負けないぐらいの熱意で図面に見入り、口々に考えを述べている人々がいる。ある、まちづくりワークショップの風景だ

▼その日話し合われたテーマは、その地域の中心を横断する道路について。現状は、狭隘でかなり利便性が悪い。具体的な問題点をピックアップして今後の設計に活かしていこうというのが狙い。生活に密着する道路に対する関心の高さから20人以上の住民が駆けつけた

▼部屋の熱気もさることながら、参加者のそれがすごい。身を乗り出して、図面を指さししながら現状を訴える。とはいえ、参加者としても慣れないワークショップ。初めてという人も無論いる。議論は行ったり来たりとぎこちないが、それでも誰もが「自分たちの道路」がよくなってほしいという気持ちに溢れている

▼昔からある道路に舗装だけしたような、地方ではわりとよくみる住宅地の道路。狭く、そして細かなカーブがいくつもある。確かに走りにくいし、見通しが悪いので運転していてこわい。議論されている道路は地方都市の典型的なパターンだ

▼道路特定財源について暫定税率廃止などの議論があって以来、「道路はもう要らない」という言葉をテレビなどよく耳にする。しかし地方の道路はまだまだ整備されていない。安全・安心・快適な道路整備を望んでいる人は沢山いる。それはあの暑さの中、額に汗を浮かべながら図面に見入る真剣な表情が如実に物語っている。(群馬・HM)

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