コラム

2008/08/22

近江商人とCSR(茨城・KK)


▼『CSR(Corporate Social Respo nsibility)』(企業の社会的責任)ー最近よく耳にする言葉だ。経済活動が拡大化、ボーダーレス化する現在、これまで以上に企業にはコミュニティや社会との共生・貢献が求められる。利益至上主義だけでは、企業の存続が困難な時代が訪れたようだ

▼1602年、東南アジアの香辛料取引を目的に設立された世界初の株式会社「オランダ東インド会社」。当時、会社はもっぱら株主を相手にしていた。彼らにいかに多くリターンするか…。時代が下り産業革命が起きると、劣悪な環境で働く大量の労働者が生み出された。経営者には、工場敷地内に労働者用の住宅を建てるなど、今でいう福利厚生が要求された

▼江戸時代の近江商人は何よりも「信用」を重んじた。奉仕の精神に溢れた彼らは、交通の便の良い所より道の険しい所を選んで商売をした。東海道の商人の冷笑を尻目に険しい中山道を進んだ。情報から隔絶されている山間の里の人々を対象にするのではなく、できる限り上質な商品を届けたのだ。誠実な商いは近江商人の名を大いに高めた

▼「ノコギリ商法」ー近江商人の代表的な商法だ。「押すだけでなく引く」。「こちらが持って行った商品を売ると同時に、相手先からも買って帰る」というもの。それを上方で売りさばくのだ。彼らは「目先の損得ではなく、トータルで利益を得ればいい」と考えた

▼「売り手よし・買い手よし・世間よし」ー近江の「三方よし」の商人道だ。地球規模で企業の社会的責任が要求される昨今、近江商人の経営哲学は、大いに見習うべき普遍のものかもしれない。(茨城・KK) 

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