コラム

2008/09/09

ゲリラ豪雨多発の因(茨城・HS)


▼夕立、にわか雨、通り雨、時雨、村雨、速雨、白雨、驟雨(しゅうう)…。意味合いは多少異なるものの、わが国では急に降り出す土砂降り雨の名称が、古来より数多く存在する。昔から多雨多湿な気候と付き合ってきた、日本人ならではの言語的感性だ。俳句や短歌に詠まれることもあり、風物詩の一つでもある

▼「集中豪雨」という言葉が使われ始めたのは、戦後の昭和28年だという。京都で発生した大雨の翌日、全国紙の夕刊にその名が使用された。非常に狭い範囲の局地的な雨で、428?の雨量は付近の河川を氾濫させ、336人の犠牲者を出した

▼そして昨今、ついに「ゲリラ豪雨」という言葉まで登場した。ゲリラ豪雨は、いつどこで発生するか予測が困難で、その発生原因すらはっきり解明されていない。地球温暖化やヒートアイランド現象が影響しているのでは、といわれる程度だ。最近では、1時間の降水量が100?を超すような激しい雨も、珍しくなくなってしまった

▼ここまでくると、もはや「趣き深い」や「風流」では片付けられない。古人のように、龍神様が怒って人間に罰を与えているのかもしれない、とさえ勘繰ってしまう。もっとも、地球温暖化もヒートアイランド現象も、その主因は人間にあるようだが

▼人類の歴史は治水との戦いであり、ここまで発展したのは自然を従わせてきた結果だ。「やがては天候すら支配できる時代が来る」とまで考える人もいる。しかし、本当にそんなことが可能なのだろうか。自然の本当の怖さは、予測できないところにあるのではないか。日常化しつつあるゲリラ豪雨の被害に遭うって痛感する。(茨城・HS)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら