コラム

2008/10/06

再生団体回避の意味(新潟・SS)


▼9月の休日、長野県の王滝村で開催された、自転車(マウンテンバイク)レースに参加した。普段は閉鎖されている林道を開放し、オフロード100kmを走破する、6月と9月に行われる人気のあるレースである

▼参加者・関係者で人口の倍の2000人が村に集う。一見活気あふれるように見える王滝だが、のセレモニーで瀬戸村長の「どうか王滝村にお金を落としていってください」という、言葉にも分かるようにこの王滝村は夕張の次に財政破綻しそうな村なのである

▼全国から登拝者が訪れる霊峰・御嶽山(3067m)の南に位置し人口約1000人の村を東西に流れる王滝川に牧尾ダムがある。このダム建設の補償金2億円を元手に、御嶽山中腹の国有地に村営スキー場を開設。その後、入浴施設や最新のゴンドラなどに100億円以上を投資したが大きな借金が残った

▼自治体の収入に占める借金返済額を示す実質公債費比率で、王滝村が41・6%となり、20年度決算から国の管理下に置かれる「財政再生団体」の基準を上回った。長期債務のうち7億5000万円を昨年度中に繰り上げ償還。財源として、4億円は借換債を起債し、残りの3億5000万円は村の貯金である財政調整基金を充て繰り上げ償還し、王滝村の平均値は33・1%まで圧縮、再生団体転落を免れる作戦をとる

▼村の財源は厳しいままなのに、財政再生団体にならんとする意味はなんなのだろう。再生団体として国の管理下になるよりも、厳しい中で自分達でなんとかする村民の意思なのだろう。来年以降も王滝の素晴らしい景色を堪能しながら、林道を走れるように、再建を応援したい。(新潟・SS)

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