コラム

2008/11/07

危ぶまれる橋梁の安全性(茨城・HN)


▼老朽化で真っ先に大問題が発生する危険な公共施設といえば、意外と橋梁である。昨年8月に起きた、アメリカミネソタ州の橋が崩壊する事故が記憶に新しい。日本でも耐震補強などの対応策が話題となり、あれから一年が経過したが、応急処置といった程度で進んでいない。十分に確保されない予算、橋梁補修工事を敬遠する業者など、その原因はさまざまだ

▼2年に1度は定期点検するアメリカに比べ、日本の国道は5年に1度。地方はさらに深刻な状況。国土交通省の昨年2月の調査によると、市区町村の約9割にあたる1567自治体が定期点検を行っていないとのこと。その理由として、予算が十分に確保できないことをあげている。橋梁の補修は新設のように国の補助が望めないためだ

▼工事を引き受ける側の業者も苦しい状況が続いている。今や橋梁補修は不調不落の第一順位。補修が必要な橋梁の数が増加しているにもかかわらず、請負業者の体制が反比例している。発注者による間接工事費の積算が機械的に算定されるため、実際の工事費と乖離し受注しても大幅な赤字になるのだ

▼ことし5月、昭和10年に架設され72年が経過している国道349号茨城県常陸太田市の「旧幸久橋」の通行制限が、さらに厳しくなった。従来の総重量10t以上から4t以上、速度40?から30?と急激に低くなっている

▼同橋は筆者の通勤ルートで、毎日多くの人が行き来している。このような通行制限が、全国の至るところで広がりを見せている。今、橋梁の崩落は決して人ごとではなく身近に起こる可能性があるのだ。公共事業費の削減が拍車をかけている。(茨城・HN)

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