コラム

2008/11/25

残したい伝統文化「家紋」(埼玉・NH)


▼過日、古本市で『江戸三百藩〜まるごとデータブック〜』という書籍を見つけた。時代劇と歴史好きの筆者は、廉価だったこともあり迷わずに購入した

▼江戸時代に存在した藩は、俗に「三百藩」とか「三百諸侯」と言われているが、250年余の間には立藩・廃藩が頻繁に行われ、延べ580前後の藩が存在していたようだ。本書では、天保から安政年間に存在した286藩を掲載。内容は、立藩からの簡単な歴史をはじめ、主な藩主の活躍、江戸屋敷の所在地、家紋などが記されていた

▼この中で、信濃の上田藩を最後に治めた松平(藤井)家の家紋が、我が家と同じ「五三桐」だったことを発見して驚いた。父から「五三の桐は、豊臣秀吉が羽柴姓を名乗っていた頃、織田信長から与えられた家紋」と、子どもの時に聞いていたからである。そこで、後日、家『紋から日本の歴史をさぐる』(ごま書房刊)を購入。同書は、縄文時代に遡る家紋の起源とその変遷を紹介しており、違った角度から歴史を学べた

▼近年、冠婚葬祭では、洋服が主流となったため、家紋入りの羽織りや留袖を着ている人を、あまり見かけなくなった。また、墓石に家紋を入れる人も少なくなった今日、自分の家の家紋を知っている人は、果たしてどの位いるのだろうか

▼平安貴族の装飾文様として生まれた家紋は、武士から庶民に広がり、現在では2万とも言われるバリエーションを持つ、日本の大切な伝統文化である。一部で家紋入りのネクタイやTシャツなどが売られているが、もっと一般的生活に取り込んでいく方法を考えないと、近い将来、消えていってしまうのではと危惧している。(埼玉・NH)

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