コラム

2008/12/03

受け入れ拒否の原因は(山梨・TT)


▼救急搬送の受け入れが拒否され、患者が死亡するケースが全国で相次いでいる。奈良県では救急搬送中の妊婦を受け入れる医療機関が見つからず、死産した問題が発覚した

▼以来、全国で救急搬送の状況調査を進める自治体が増えている。ある市では今年1月から9月までの調査で救急車で搬送された全体のおよそ16%が初回の受け入れを拒否されていたことを明らかにしている。その中では最大で9回の受け入れを拒否されたケースもあったという

▼この原因として、医師不足を第一に挙げているが、筆者は少し疑問に感じている。大きな病院の入り口に立つと、院内案内掲示板が真っ先に目に入る。そこには、病院の診療科が細かく専門的に分かれていて、受診に来た患者や本人さえも、どこの診療科に行けば良いのか迷う程だ

▼この細分化されている診療科の組織の中で、医師が自分の専門外とする診療科の病状に対して、どの程度の知識を持っているのか。また院内外に限らず、どれだけ他診療科と互いに連携が取れているのかを疑問に感じる

▼もちろん医師不足も原因の一つだと思うが。今まで起きてきた受け入れ拒否の問題を考えると、もし掛かり付けの主治医が専門外の知識を持っていたなら、もし普段から連携の取り合える医師や病院があったなら、今より患者が救える可能性が高くなったのではないか

▼どこの社会にも魔法使いや無限に動けるロボットのような人間はいない。なにも医療の世界だけの話ではなく、私たちの身近な生活の中にでも共通する問題だと言えることかもしれない。改めて真摯に考えたいところだが、いかがなものだろうか。(山梨・TT)

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