コラム

2008/12/19

相手を思いやる気持ち(茨城・NI)


▼自分を大切に思えない人間は人の命を粗末にする。自分の心を理解してほしいと思うならば、他人の心を理解しようと努めなければ、互いの調和はとれないからだ。「共感力」は、社会生活に欠かせないもっとも大切な能力の一つであると筆者は考える

▼この能力が欠けていると、人の気持ちがつかめないゆえに集団の中で孤立したり、対人恐怖症になることさえある。最近の世情には、失敗から普遍性を学んで成長したり、客観的に自分や状況を判断したり、相手を思いやる共感力に欠ける傾向が顕著に見られる

▼凶悪な少年犯罪の原点とも言うべき1997年2月の酒鬼薔薇事件も、きわめて共感能力の低い子どもが生み出した事件である。子ども達は、生れたときからずっと親からエリートを目指し、受験競争や管理され、人の身になって考えるという習慣が小さいときから養われていないのだ

▼昨今、学校でのいじめが目立つが、いじめるほうは自分がいじめられる場合のことを全く考えていない。つまり、人に痛みを与えることをしても、自分がそれと同じ痛みを受けたことがないので想像できないのだ。まさに共感能力が欠乏しているのだ

▼このようなことは、小さなときに昔のように空き地や公園で年長、年少入り交じり、引き連れて遊んでいれば自然とその集団のなかで学び、身につくことだった。しかし、いまのせちがらい社会や世の中が子どもの遊び場を奪い、子どもを塾に追いやったことからさまざまな社会問題が起きている。もう一度子どもの世界を大人から見た悪に導こうとする、ガキ大将中心の遊びの効果を見直す必要があるのでは。(茨城・NI)

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