コラム

2009/02/06

ナポレオンが成したこと(茨城・MK)


▼茨城県近代美術館で開かれた「大ナポレオン展」を見に行った。皇帝ナポレオンが実際に使用した帽子やティーセットなど身近な物から、騎馬像、肖像画、版画集、戴冠式の記録まで、彼の足跡と関係者の遺品が並ぶ。海外での個人コレクションに東京富士美術館の所蔵品を加えた資料で彼とその時代を浮き彫りにするという意図がよく分かり、有意義だった

▼1805年のイタリア遠征時を描いた有名な「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」(ジャック=ルイ・ダヴィット作)も素晴らしかった。白馬にまたがり、行く先を指し示す彼の雄姿には戦慄さえ覚えた

▼ナポレオンは、孤島の貧しい貴族の家に生まれながらフランス革命時の混乱を統率して皇帝となり、ヨーロッパのほとんどを制圧。政治的にも軍事的にも天才だったといわれている。展示会には、イタリア方面軍総司令官当時の直筆書簡、イタリアの信教の自由を支持する直筆書簡もあり、往時をしのばせる

▼一方で展示会は、文化面でのナポレオンの貢献にもスポットを当てている。有名な「ナポレオン法典」の英語訳、ナポレオンが持っていたというゲーテの「若きウェルテルの悩み」もあり、感嘆した

▼だが彼の絶頂期は続かず、亡命、再度の戴冠、流刑となる。最後は流刑先のセント・ヘレナ島で亡くなるのだが、そこでの直筆回顧録、息を引き取った時の記録も展示されていた

▼展示を見ていたら、彼の人生は、まさにドラマのように思えた。また、一人の人間が一生のうちに何をどこまでできるのか示したようにも見えた。(茨城・MK)

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