コラム

2009/02/23

地域に応援される存在(東京・UT)


▼埼玉県春日部市の自宅から10分ほど歩くと、高校野球で甲子園常連の名門・春日部共栄高校がある。駅と反対方向ということもあって、これまであまり行く機会はなかったのだが、最近は休日に散歩かたがた足を運ぶ。グラウンドで熱心に練習している風景を眺めるだけで、元気をもらえる感じがするから不思議だ

▼ホームベースの後方にあるバックネットには垂れ幕があり、「全国制覇」の大きな文字が見える。県内では屈指の実力だが全国大会で優勝したことのない同校にとっては、まさしく悲願なのだろう。学校が一丸となって取り組んでいる様が垣間見える

▼いつ行っても、グラウンドの外から練習風景を見学し、応援しているファンがいる。どうやら球児の両親と思われる人のほか、筆者のように近所に住んでいると思われる人も実に多い

▼地域建設業の疲弊が叫ばれて久しい。帝国データバンクの調べでは、平成20年の建設業倒産件数は3446件だった。19年の2939件でも危機的な数だが、そこから17・3%も増えているのが現実だ。地域に根差す建設業者がどんどん倒産している現状に、打つ手はないのだろうか

▼近年、聞く機会が増えた言葉に「顔の見える土木」がある。そのトンネルを、その橋を、そのダムを誰が造ったのか。きちんと見えるようにしようという考えだ。地域建設業者が「まちの大工さん」として近隣住民に認識してもらうことは大切では。市民参画型の道路計画(PI)なども進んでいる。役所と施工者と近隣住民が参加し、意見を交換して、お互いを認め合うようなかたちの公共事業は模索できないだろうか。(東京・UT)

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