コラム

2009/03/31

一枚に賭ける想い(新潟・KK)


▼取材活動を通じて毎日のように写真を撮る。使用するカメラは昨今はデジタルカメラ。一昔前のフィルムカメラを使っていた時代と違い、撮った画像を瞬時に確認でき、加工が容易で、現像に出す手間も省けるなど、実に便利になった

▼一方で、従来のフィルムカメラの愛好家も多い。フィルムを現像に出し、どんな写真が撮れているのか、わくわくして待つ期待感もあるが、失敗した写真を眺めることも楽しみの一つである

▼フィルムカメラとデジタルカメラの中間にあるのが、撮った写真がすぐに現像されるインスタントカメラ。特に米・ポラロイド社製のインスタントカメラは有名だ。そのポラロイド社が昨年、インスタントカメラ・フィルムの生産を中止。事実上、「ポラロイドカメラ」の役割が終わった

▼筆者が「ポラロイドカメラ」の魅力に取り付かれたのは数年前で、旧知のアンティークショップから安く譲ってもらったのがきっかけ。約30年も前に生産されたカメラだが、今もなお現役である。残念ながら、フィルムの生産が終わってしまったため、あとは手元に残るフィルムのみ

▼「ポラロイドカメラ」の最大の特長は、撮った写真が、その一枚しか存在しないこと。焼き増しが出来ないので、仕上がった写真が「世界で一枚だけの写真」となる。そのため医療現場など加工や修正が許されない世界では必須のカメラ。写真一枚に対する単価が非常に高く、シャッターを押す瞬間には常に緊張が走る。失敗した画像を簡単に消去でき、何百、何千枚も撮れるデジタルカメラ全盛の時代であるが、改めて一枚の写真の大切さに想いを馳せてはいかがだろう。(新潟・KK)

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