コラム

2009/03/13

気象学の歴史と異常気象(茨城・KK)


▼「♪僕の名前はヤン坊、僕の名前はマー坊…」で始まる農業機械やフィッシングボートでおなじみの機械メーカー提供の天気予報をご記憶だろうか。懐かしいこの天気予報は、ローカル局の主に夕方の時間帯で現在も続いており、今年放送開始50周年を迎える

▼「天気を予測したい」―気象学の歴史は人類の歩みそのものだ。太古、空を眺めることから始まった気象学は、すでに2千数百年の歴史をもつ。長い夜明けの時代の末、15世紀のレオナルド・ダ・ビンチの湿度計、風速計の発明、16世紀のガリレオ・ガリレイの空気温度計の発明など測器の登場により、データが蓄積され、気候が予測できるようになった

▼文明の盛衰、経済活動に気候が大きな影響を与えているのは明らかだ。古代文明は温暖で豊かな食糧生産が可能な地域におこった。農業は言わずもがなだが、「冷夏に泣くビアガーデン」「空を眺めてため息をつく海の家」といったニュース見出しからも分かるように商業や経済にも直接、間接に関係している

▼織田信長が今川義元を破った1560年の桶狭間の戦い。兵力では10分の1の織田軍が折からの豪雨に紛れて進軍し、雨がやんだ直後今川の本隊を奇襲し義元を討った史実はあまりに有名。弓矢の時代は、いかにして風上を支配するかが勝負の決め手と言われた。戦時下においては気象情報は軍事機密だった

▼18世紀の産業革命以降、大気中の二酸化炭素の量は今日までに30%増という驚異的な増加率をみせている。その結果が昨今の異常気象を引き起こしている。経済の先行きが予測不能の現在を象徴しているようでなんとも皮肉な話だ。(茨城・KK)

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