コラム

2009/03/17

リニア開業へ本格始動(茨城・TY)


▼大手新聞社の雇用特集欄。海外トピックスでは「GM再建計画で4万7000人の削減」。国内ニュースでも「大手銀行新卒採用抑制へ」「日産、正社員の基本給1〜2割削減」「ハウステンボス300人削減、場内ホテル1館休館へ」…と続く

▼企業は存続のため、これまでにない大規模な人員削減策を次々と打ち出す。人があぶれ、路頭に迷う人びとが増え続ける。格差拡大を受け、セーフティーネットの整備が急がれ、地方自治体もワークシェアリングや臨時雇用に動き出した。紙面を見渡すと、削減、減少、減収、減益、減員、減額、減配と、減らす―の文字ばかり

▼だがその中にあって、唯一明るい採用の発表が目に留まった。建設費5兆1000億円。JR東海はリニア中央新幹線の2025年開業(品川駅―名古屋駅間)に向け、今春1030人を採用する。団塊世代の大量同時退職がピークを迎える中、具体的な着工に備え、来春は過去最多となる1030人規模の新規採用を見込む。総合職や地域限定社員も含め、調査、施工管理といった各部門で人材を確保する

▼新幹線を凌駕(りょうが)する次世代モデル「JR式マグレブ」(超伝導磁気浮上式モーターカー)。そのフォルムを見ただけでも技術の高さが連想される。車両開発はもちろんだが、トンネル、橋梁、駅舎と優れた構造物を必要とする鉄道建設。若者にとっても技術習得の好機だ

▼夢の鉄道―リニアは未来の人と物を乗せるだけでなく、経済環境の機軸に大きく影響すると期待されている。我々の暮らしぶりに合わせ、社会基盤もその姿を変えてゆくに違いない。(茨城・TY)

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