コラム

2009/03/25

総合評価の二面性(東京・UT)


▼国土交通省は今年度、「公共工事における総合評価方式の導入実態調査」の結果をまとめている。受注者側のほか、47都道府県、17政令市、1799市町村の地方公共団体にもアンケート調査を実施しており、発注者の持つ問題意識が浮き彫りになっていて、興味深い

▼地方公共団体が挙げた総合評価の導入困難理由第1位は「手続きに伴う事務量の増大」で、63・8%となっている。このほか「大手企業参入による地元企業界への影響」「全庁的な意思決定が困難」「議会などへの説明が困難」といった、自治体ならではの理由も挙がっている

▼公共工事品確法の第3条第2項には、「価格以外の多様な要素をも考慮し、価格および品質が総合的に優れた内容の契約」をするよう規定している。すなわち、発注者に対して総合評価による調達を求めている。同法は、あくまでも公共工事の品質確保の観点から施行されたものと言える

▼ただ、公共工事の入札に参加している多くの建設会社が総合評価に期待していることは、価格以外の要素も加味して落札者を決めることで、極限の価格競争を緩和させることではないだろうか。適正な利益を得たいと思うことは、企業経営上、極めて当然なこと

▼しかし昨今では、調査基準価格すれすれの入札を行った上で、技術提案のほうでもぎりぎりの競争をしているケースが多発しているようだ。この場合、建設会社にしてみれば、従来の価格だけのほうが、まだ負担が少ないと言える。総合評価の運用次第では、地域建設業者に負担をかけることになってしまう。全国で総合評価の適切な運用がされることを、切に願いたい。(東京・UT)

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