コラム

2009/03/26

ベテランの光と陰(群馬・HM)


▼世界戦以外では初の敗北だった。テレビ中継もない、遠く異郷の地での敗戦。辰吉丈一郎。38歳。タイの新鋭、19歳のサーカイ・ジョッキージムにダウンを奪われ、TKOで敗れた。本人はまだやると言っているが現実は厳しい。試合後の写真、くすぶり続けた夢のかけらがついに燃え尽きたような寂しい姿に見えた

▼同じ日、日本では1人のベテランが金字塔を打ち立てた。キングカズことサッカーの三浦知良選手が3月8日の開幕戦に42歳10日で出場。これまでラモス瑠偉氏が持っていた41歳9カ月5日の最年長出場記録を更新した

▼奇しくも同じ日のできごと。ベテラン2人の光と影。辰吉選手が悪いとは思わない。『辰吉』という固有名詞を省いて考えれば38歳と19歳の対戦なら当然の結果と言えなくもない。すごいのは三浦選手。いまだに若手にも引けを取らない体力だと言うから驚きだ

▼この差は何なのか。それは先を見据え続けてきたからではないだろうか。例えば30歳の後半に、今から40歳でもプレーできる肉体をつくろうと思っても無理だろう。20代の頃から、40歳でもプレーできるように努力し続けてきたからできること

▼これは仕事にもあてはまる。後輩ができ、部下ができ、それなりの肩書きも付いてくる。そのとき、例えば、「よし!今日から部長だからそれらしい仕事をしよう」と思ってみても無理だろう。部長になったとき役職にあった仕事ができるように若い頃から積み重ねてきた人だけがきちんと部長になれる。キングカズが日々追い続けているのはボールだけではない。そのキングの後ろ姿を筆者も微力ながら追ってみたい。(群馬・HM)

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