コラム

2009/03/27

卒業ー変化と飛躍(茨城・KK)


▼「暑さ寒さも彼岸まで」―すっかり春らしくなった。3月も今頃になると、ほとんどの学校で卒業式も終わったことだろう

▼筆者が小中学校を卒業した頃、卒業式は卒業証書授与をメインに、その前後に校歌や『仰げば尊し』『蛍の光』などおなじみの定番ソング斉唱、在校生送辞や卒業生答辞などおごそかな催しに終始した。今では、先生と生徒が一体となって式の演出に取り組む学校も増えたと聞く。卒業生が両親に綴る『感謝の手紙』などはその代表的なものかも

▼童話や絵本を子供だけのものにしておくのはもったいない―とかねてから思っていた。『イモムシラーヴァちゃんの卒業式』(山下輝郎著・新風舎刊)もそんな1冊。自分を醜いと感じているイモムシのラーヴァちゃんが森の学校に入学。ヤゴくん、おたまじゃくしちゃん、イシノミ(コケの間や落ち葉の中などで見られる昆虫)くんといった仲間たちと学ぶことに

▼森の学校では、それぞれが成長した時が卒業の日。ヤゴくんはトンボくんに、おたまじゃくしちゃんはカエルさんにそれぞれ成長して巣立った。そしてラーヴァちゃんにもその日が…美しい蝶になって祝福されて飛び立っていった。ところが全員が卒業しても、ひとりイシノミくんだけが今年も卒業できずにいた

▼イシノミくんは脱皮しても体の変わらない昆虫だった。「彼が卒業するには心が成長する意外に方法はない。そのことに気づいた時がイシノミくんの卒業の時なのだ」と校長先生。人は安定を好み、変化を恐れがちだ。しかし、その殻を破って飛び出したら…きっと大きな飛躍が待ち受けているかもしれない。(茨城・KK)

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