コラム

2009/03/30

100年先へつなげる力(山梨・CT)


▼100年に一度…がとうとう我が家にも訪れた。自動車の製造工場勤務の夫が今月から週休4日になったのだ。正社員として勤めているが不況のあおりは免れない。減り続ける収入を前にまずは家計簿を見直した。改めてみると食費の多さに驚く。共働きを言い訳にずいぶん「外食」をしてきた

▼外出先で食事をすませる「外食」に対し、お弁当や総菜など調理済みの食材を家で食べる事を「中食」、家で食材を料理して食べるのは「内食」という。ここ数年低迷する外食産業とは逆に市場規模を拡大しているのが中食産業だ。個食化や核家族など食卓の変化に伴い売り上げを伸ばしている

▼暮らしの中で節約を強いられる一方、1500万円以上する時計が売れている。製造しているのは日本のセイコーエプソン。通常の高級時計でも使われる部品は250点前後といわれるが、ここの技術者達は630点を直径37?の中に納める。年間に5本しか作れないが、卓越した技術力と芸術性が高く評価され予約待ちの状態なのだそうだ

▼この時計には次世代への希望が込められている。技能者の後退を憂いたある社員が技術継承の場を作った。就業時間外に人が集まりだし、試作品として作ったのが先の時計だ。企業にとって熟練の技をつなげていくのは課題であり、義務でもある

▼今の苦境は果たして政策や時勢のせいだけであろうか。無駄を省くこと、ニーズを掘り起こすこと、そして人を育て次の時代へ土台を築くこと。「100年に一度」この言葉に甘えてばかりではいけない。むしろ「成功は逆境の中から生まれる」。先人達が教えてくれたことではないか。(山梨・CT)

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