コラム

2009/04/17

落ちない希望のリンゴ(茨城・KS)


▼昨年の春霜とひょうによるダメージで、青森産リンゴが大量に売れ残ってしまった。暖冬によって早くから開花し、霜にさらされた上に、9月には大きなひょうが降って収穫直前のリンゴが傷んだのである。被害を受けた面積は1万600ヘクタールに及んだ

▼しかしそこで関係農業団体は、見た目は悪くても味は変わらないと傷んだリンゴをジュースにして販売を展開した。農家の前向きな気持ちを込めて「希望の雫(しずく)」とネーミング。空気に触れさせない密閉搾りで、それこそ純粋な真のジュースとなり好評を博している

▼同じリンゴにまつわる別のエピソードがある。平成3年に最大瞬間風速50mを超える台風19号が津軽地方を襲ったときも尋常でない被害を受けた。9割ものリンゴが出荷できなくなってしまったという。絶望し、途方に暮れる農家が多い中で、ある若い農園経営者は違っていた観点を持っていた

▼強風を受けても耐え忍んだ残り1割のリンゴに着目し、光を当てたのである。それを『落ちないリンゴ』と命名し、受験生に縁起の良いお守りとして全国の著名神社で売り出した。予想に反し、売れ行きは絶好調で、瞬く間に完売し見事に起死回生に成功したという

▼農業でも工業でもどの業界でも同じではないだろうか。要するにものの見方、捉え方、考え方の違いである。物事には表面と裏面が必ずあるはずで、どうせ見るならば明るい面だけを見つめていくことが大事。心の持ち方しだいで活路は見出せる。特殊な技能や知識はいらない、今すぐに誰でも始めることができる。どんなときでも希望を胸にプラス思考でいきたい。(茨城・KS)

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