コラム

2009/05/21

今こそお洒落をしよう(東京・JI)


▼久しぶりにスーツを買おうと専門店へ。すると陳列している商品は縦縞、いわばストライプのスーツばかりだった。個人的には無地が良いのだが、それが無い。店員は「ストライプが流行している」と強気だ。挙句の果てには「今どき無地を着ている人はいない」とまで言い切る

▼ストライプと一口に言っても、線の細さや線と線との間隔によって随分と印象は異なる。線が太くて間隔が広いものほど派手になる。逆に線が細く間隔が狭ければ、遠目には無地にも見えるほど地味になる。しかし個人的には、いかに細い線でも抵抗がある

▼服飾記者の片瀬平太氏が書いた「スーツの適齢期」(集英社新書)が面白い。50才以上の男性が「着る」を楽しむことがテーマとなっている。著者は「年齢を重ねてきた今こそお洒落をしよう」と提案する。男にとって40代は助走期間であり、本格的に装うことを楽しめるのは50才から、また年を重ねなければ似合わない服も多いと言う。さらに体型のコンプレックスも隠さずに出すことで魅力に転化する―と述べている

▼この本ではスーツやシャツ、小物にいたるまで、男性が揃えておくべきアイテムを具体的に記している。ファッション雑誌を購入することに気後れする男性は、まず本書で「装う」ことの素晴らしさに触れてみてはどうだろうか。「ファッションは少しずつ衰えていく人に生命力と魅力を吹き込んでくれる」ようだ

▼ストライプスーツの店では何も買わずに出てきたが、近いうちに別の店で無地のスーツを買うつもりである。これからは、自分らしい「普通」のお洒落を楽しみたいと思っている。(東京・JI)

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