コラム

2009/06/01

求ム、新日本列島改造論(新潟・TH)


▼新潟県では大河ドラマ『天地人』、長野県では、『善光寺の御開帳』と平成26年度に控えた北陸新幹線金沢延伸開業に先駆けて、沿線の各県・市町村では、今から観光客の獲得に向けたPR合戦が激化している

▼もともと北陸新幹線といえば、故・田中角栄元首相が掲げた「日本列島改造論」の中では、青森から新潟、富山の日本海側を経由して大阪まで到るはずであった。その名残として、現在も上越新幹線の長岡駅には幻の新幹線ホームが存在する。高速道路・新幹線による高速移動網、工業地域の再配置、大都市と地方を結ぶ情報ネットワークの整備による都市と地方の格差解消。全国を結ぶ情報ネットワークこそ実現しているものの、昭和40年代から、この計画を実行に移していたことは、今では信じがたい話である

▼結果、構想とは真逆の利益の中央集中化、地価の高騰、インフレを招き、オイルショックで計画が頓挫したことは説明するまでもない。しかし「日本列島改造論」は、明らかに将来への願望を含めた日本の構想を描いたものであり、それゆえ、国民を熱狂させ、80万部を超えるベストセラーとなった

▼最近、各所での挨拶といえば『100年に1度の』もしくは『アメリカ発の』から始まり口を揃えたように下向きの発言しか出されず、現状をどうにかしなければならないのは、誰もが理解しているが、これと言って決定的な打開策は出てこない

▼今こそ、本家と同じとは言わないが、その場しのぎの政策ではなく、皆が上を向くような明るい将来を見据えた『21世紀型日本列島改造論』が提唱されることを期待したい。国民の為に。(新潟・HT)

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