コラム

2009/06/03

一刻も早い発注を(群馬・HI)


▼今、建設業界には、2つの明るい話題がある。1つは経済対策を盛り込んだ過去最大級の補正予算の編成。もう1つは、公共事業の入札における最低価格や調査価格引き上げの流れだ

▼景気対策を目的とした補正予算の編成は、過去に何度もあった。しかし国会での論戦は、金額が少なければ「不十分だ」と言われ、逆に金額が大きくなれば「バラマキだ」という批判ありきの議論。今回は、100年に1度と言われる経済危機を受けて、額が突出して多いことと、エコカー減税など国民にもわかりやすい分野に集中投資している点が特長だ

▼最低価格や調査価格引き上げの流れは、疲弊した建設業界にとって待ちわびた政策。これまでの事業量減、ダンピングという負のスパイラルを、適正な利益が出る循環に戻すためにも、発注者の果たす役割は大きい。補正予算で発注される事業を、安心して受注できる環境が整いつつある

▼5月は、多くの建設関係団体が総会を開いた。団体のトップはあいさつでこれらの話題に触れ、「今年は期待がもてそうだ」などと言っては見るが、会員や個々の企業に聞くと「厳しさは変わらない」との声が多い。「いったい何に予算が付くのか。工事はいつ発注されるのか」と、不安な声も聞こえる

▼公共事業削減という暗くて長いトンネルにようやく光が差し始めた一方で、様変わりした業界の姿があった。多くの仲間が消え、トンネルの中で生命を維持してきた「民間需要」という栄養素も昨年秋以降パッタリと途絶え、何とかここまで来た仲間も、体力消耗が著しい。「本当に一日も早く発注してほしい」。業界の声は切実だ。(群馬・HI)

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