コラム

2009/06/09

公共事業を再考(茨城・MK)


▼平成21年度の国の公共事業費は約6兆4000万円で、20年前の昭和62年度よりも下回っている。このほど開かれた関東地方整備局と茨城県建設業協会による講習会で整備局の担当者が、この数字に触れた

▼昭和62年といえば、円高不況を脱出し、国鉄がJRに民営化されたころ。その後は、「公共投資基本計画」によって大幅に事業費が積み増しされた。ピークは、平成11年度の14兆9000億円(補正後)。現在は、その半分以下。改めて公共事業費がいかに少なくなっているか思い知らされた

▼国も次々と景気刺激策を打ち出している。昨年10月には事業規模11兆5000億円の第一次補正予算が成立。ことし1月には、定額給付金や高速道路料金引き下げを含む27兆円規模の第二次補正予算が決まった。さらに21年度当初予算では37兆円を計上。一次、二次の補正、21年度予算と「3段ロケット」で景気浮揚を目指す

▼政府はこれらに止まらない。13兆9000億円にのぼる21年度の補正予算を成立させた。今回の補正には「底力発揮・21世紀インフラ整備」に2兆6000億円、「安全・安心の確保」に1兆7000億円などが盛り込まれている。矢継ぎ早の予算を成立させ、政府与党は「4段ロケットで推進する」と刺激策を強調する

▼公共事業費の減少は、国の事業が減っていることを意味するだけではない。整備が促進されなければならない建物の耐震化や洪水対策、身近な水道・下水道の整備、道路の整備などが思うにまかせないことでもあり、市民の安全・安心に直結することである。将来をよく考えた賢明な選択が、今こそ求められる。(茨城・MK)

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