コラム

2009/06/15

効用施設の有効活用(東京・JI)


▼休日は決まって図書館に行く。小学生の息子も一緒である。開館と同時に入り、たっぷりと時間をかけて本を選ぶ。毎度のように何を読もうかと悩み、開架棚をあちらこちらと飛び回るが、実はそれ自体が楽しい至福の時。テーマを決めて複数冊を借りることもあれば、一貫性のない時もある

▼いつも利用するのは、児童数の減少で統廃合となった学校を活用した図書館だ。低層階の内部をリフォームして壁を取り払った空間にジャンルごとの本棚が並ぶ。アクセスが悪く利用者が少ないため、いつも広々としている。さらに児童書の開架室は渡り廊下の向こう側にあるため、子供たちが騒ぐ声も気にならない

▼以前住んでいた街の図書館も、大正時代の学校施設を利用したものだった。学校全体が公民館として活用され、そこに図書館も併設している。市民が気軽に使えると同時に価値ある建築物として観光名所にもなっている。小さい図書館だったが、当時の学生たちの授業風景が目に浮かぶ、居心地の良い場所だった

▼とかく「無駄」と言われるハコモノ。確かに、作ったものの利用されていないのならば無駄かもしれない。しかし批判だけなら誰でもできる。それよりも施設が有効に使われるようなアイデアを自ら出すべきだろう。そこから議論が始まれば、市民の行政に対する関心も高まるのではないか

▼図書館から帰宅して、借りてきた本に目を通す。梅雨時ならば雨音を耳にしつつ、真夏ならばセミの鳴き声に一層の暑さを感じつつ。いつの間にか眠っていたりすることもあるが、それもまた心地良いのである。さて今週は何を借りようか。(東京・JI)

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