コラム

2009/07/16

外見より中身の底力(埼玉・YW)


▼埼玉県庁を辞めご主人の転勤先である茨城県土浦市に引越したという10年来知人の女性からハガキが届いた。土浦イオンで店員をしているということで、早速再会を果たすべく土浦に出向いた

▼この1、2年筆者の周囲にはイオンをはじめ大型郊外型複合商業施設の進出が相次いでいる。しかし一部を除き、施設内の店舗撤退が意外と多い。平日の駐車場はがら空き。華やかなオープンとはまるで光と陰である。土浦イオンは開店当初、もの珍しさも手伝い非常に混雑していた気がする

▼大型商業施設の光と陰はおそらく全国的な傾向だろう。派手で大きく話題性が先行し、ともすれば接客、中身で勝負できる店舗の数はどの程度なのかという最も大事なソフトの要素が欠落してはいまいか。お客様をもてなす心はできているのだろうか、気持ちよく何度も足を運びたくなるようなリピーター獲得力はついているのか。これらが忘却の彼方になってはいまいか

▼私事で恐縮だが筆者は少年期にロンドンで国鉄に乗ったことがある。そこでは「パッセンジャー」=乗客と呼ばれた。それが今は「カスタマー」とお客様扱いになった。民営化になり呼び名が丁寧になったから運賃も高くなったというのが民間鉄道会社の言い分だった。しかし少々高値の印象だったが、それはもてなしの心があり納得して運賃を支払った

▼お客様、買い手の心をつかむにはソフトな部分が重要であり、決して外見の派手さでも話題性でも規模でもないのは明白だ。それらは一過性に過ぎない。建設業も同様である。地に根をおろし買い手の心をつかむ企業が底力を発揮すると思われるが。(埼玉・YW)

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