コラム

2009/07/22

上手な年の重ね方(茨城・HS)


▼アメリカの第41代大統領、いわゆる「パパ・ブッシュ」の趣味は、スカイダイビングだそうだ。つい先日も、誕生日を記念して上空3200メートルの高さから降下。御年85歳。その底知れぬバイタリティは、いったいどこからくるのだろうか。まさに「上手に歳を重ねた」お手本だ

▼老いてますます盛んな人といえば、三国志演義の黄忠が真っ先に思い浮かぶ。弓の名手でもあるこの老将は、60歳を過ぎてもなお馬を駆り、一騎討ちで敵将を次々と倒していく。老人扱いを嫌い、若者に劣らないことを証明しようと、最期は無謀な戦いで命を落とす。小説の中の物語とはいえ、その強さには惚れ惚れしてしまう

▼日本にも元気なお年寄りはたくさんいる。最近では、国民栄誉賞の受賞が決まった女優の森光子さん(89歳)もその1人。ご本人は生涯現役を誓っているようで、そのお芝居はこれからも観る者を楽しませてくれるに違いない

▼平均寿命が80歳を超える今の時代、老後をいかに生きるかが1つの大きな問題になっている。最近読んだ一般紙の記事によると、関東のある県では高齢者の万引きが急増しており、この5年で倍増、全体の4人に1人が65歳以上だったという。この数字は、少子高齢化に直面している現状を如実に表している。総人口に占める高齢者の割合も、万引きのそれとほぼ同数なのだから

▼元来、高齢者は歳を重ねた分の分別があるはず。それは経験であり、若年層の規範となるべきものだ。万引きの理由によく「ストレス解消」が挙げられるが、どんな理由も正当化にはつながらない。ストレスは健全に解消できるよう、上手に歳を重ねてゆきたいものだ。(茨城・HS)

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