コラム

2009/07/23

新潟に見る高い先人の技術(新潟・SS)


▼職場近くの信濃川河川敷に竹で出来たドーム状の不思議なオブジェが出現した。これは7月18日から開催されている芸術祭作品の一つ

▼芸術祭は「日本海政令市にいがた水と土の芸術祭2009」は土と水の文化を大切にし、次の時代を担う子どもたちに伝え、その文化を国内外に発信するというコンセプト。これをもとに国内外のアーチストが新潟市内各地に作品を設置したりするイベントである

▼筆者の住む新潟市西区に新川という川がある。文字通り新しい人工の河川(放水路)である。新しいと言っても200年ほど前に造られた川だ。多くの潟が広がる現新潟市西蒲区周辺の排水を良くするために農民が掘削した。新潟市中心部に向けて流れる西川と交差させるために川底に底樋(そこひ)を埋設させるなど重機の無い時代とは思えないほど高い技術を駆使している。新川が出来た後には周辺の潟が干上がり、多くの村が誕生した

▼このことを知ったのは新潟から離れた大学時代の講義だった。映し出されたスライドに、見覚えのあるふるさとの風景。資料にある新川と新川排水機場の文字に驚いた。幼い頃から、排水機場のある河口でハゼ、寒い時期にはお腹と背中に棘の有るイトヨなどを釣って遊んだ川は先人達の苦労と立派な役割があることに誇りを感じた

▼新潟市は約4分の1が海抜ゼロメートル地帯。多くの放水路を造り、多く排水機場を築き、技術の粋を尽くして悪条件と闘ってきた。そして今、多くの排水施設が人工的に機能することによって私達が生活出来ているということを認識できる「芸術祭」であってほしいと願っている。(新潟・SS)

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