コラム

2009/07/29

小企業が行きにくい時代(群馬・HI)


▼驚いた。と言うよりも「?」。よくわからないという感覚の人が近いような気がする。キリンHDとサントリーHDの経営統合のニュース。売上高がそれぞれ1兆円を超え、財務内容も良好な「勝ち組」企業同士。一方で企業風土も異なる両社だ。一体、何のための経営統合なのか

▼経営統合に至るには、何らかの理由がある。関係企業が生き残りをかけて経営統合するケース。また、資本増強や市場拡大のため、M&A色の濃い経営統合のケース。さらに、銀行など第三者が介在し経営統合に導く場合も

▼今回の場合、理由の一つに世界戦略が挙げられるようだ。ビール業界は今、国内の市場が頭打ち状態で、中国やロシアなど、世界の巨大市場を巡りM&Aが進んでいる。今回もその資本増強のためだ―との声もあるのだが

▼そんな中、あるビール好きの著名人がテレビのインタビューで、「ビールを選ぶ楽しみがなくなってしまう」と寂しがっていた。アサヒ、サッポロを含めた大手4社は、それぞれ個性あるビールのブランドを持つ。また、缶コーヒーを含む清涼飲料も、根強い固定ファンを持つブランドも多い。確かに経営統合となれば、いかに勝ち組企業同士といえども、コスト縮減から余剰の工場や人員は削減されるだろう。そして、ビールや清涼飲料のブランドも減るかもしれない

▼日本の飲料メーカー勝者でトップ2強が組み、世界に進出する。一方で、寡占化が進んだ市場で、小さな企業が生き残ることは容易ではない。優れた技術や商品ブランドを抱えた魅力ある企業であっても、経営規模が小さければ生きにくい時代になった。(群馬・HI)

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