コラム

2009/08/19

ツバメの長寿命住宅(群馬・HM)


▼まだ寒さの残る春先、毎年、我が家にやってくる珍客がいる。長い旅を続け、いくらか疲れたようにも見える渡り鳥、ツバメだ。つがいでふらりとやって来ると、まず最初に巣の補修に取りかかる。2羽で休みなくせっせと小枝などを運んでくる

▼ツバメが初めて我が家にやってきたのは4年前。その後、ずっと同じ巣を直しながら使い続けている。「ツバメ版・長寿命住宅」と言うと少し大げさかもしれないが、とにかく大事に使う

▼そのツバメの巣に異変が生じた。端の方が少し壁から浮いているのだ。木が反るような感じで巣の端がめくれている。それは徐々に大きくなり、壁から1センチ以上も浮いてしまった。幅は4、5センチはあるか。巣の補修に熱心だった親鳥もこの時期は子育てが忙しいのか、それとも単に気が付かないのか何もしない。巣にはまだ5羽のヒナがいる。巣立ちまでもつのだろうか。心配しつつ見守る

▼梅雨も明け、いよいよ暑さが本格化してくる頃。ヒナ達は元気に巣立っていった。巣もなんとか持ちこたえてくれた。ホッとしつつ空家になった巣を見上げていて、ふと思いついた。あの壁から浮いてしまっている部分をわざと壊しておけば、来年戻ってきたときに補修するのではないだろうか

▼ツバメが人間の予想通りに行動するかは疑問だし、壊れた巣を見放して、よそへ行ってしまうかもしれない。ちょっとした賭けになるが、このままでも来年のヒナ達を支えられるとは思えない。思い切って壊してみよう。願わくば完璧に「リフォーム」してくれるところを見てみたい。来年の春が今から待ち遠しくなってきた。(群馬・HM)

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