コラム

2009/08/20

マスコミの良識(埼玉・YW)


▼取材記者はマスコミ人として役所をはじめさまざまな人に取材なりインタビューをする。しかし取材という形ではあれ、思い切ったことをズバリと聞くことと、放漫かつ非常識でエチケットに反する質問では本質的に違うということを忘れてはいまいか

▼6月上旬のことだが非常に気になることがあった。盲目のピアニストでヴァン・クライバーン国際音楽コンクールで優勝した辻井伸行さんが会見をした時、あるリポーターが「目が見えたら何をしたいですか」の類の質問をした。辻井さんは確か「両親の顔を見たいが、見えなくとも愛されているのが分かるので満足」との発言をしている

▼もし1億円あったら、もし空を飛べたらの仮定の話ではなく、現実に盲目であるのだからそのような身体的なもしくは人を傷つける質問はナンセンスではないかと感じた。その場は一瞬ひいたと報道されている

▼取材の際の気配りは大切な心がけである。最近本紙のキャンペーンでさまざまな方のインタビューをしている。私事ではあるが、インタビューにはその方の考えや主張が事前に分かれば、必ずその逆のことを聞くようにしている。そうすると当事者はむきになり、本音を出す。より良い本音を聞き出すインタビューになるからだ

▼しかし行き過ぎは良くないと自戒している。マスコミに携わる者にとって、相手に敬意をもって本音を聞くことを心がけねばと改めて感じている。エチケットを守ると、相手は安心し、信頼を置かれると本音も出す。信頼と安心がもたれてしゃべり、それが究極にはスクープになると信じている。すべからく信頼が基本である。(埼玉・YW)

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